私が好きな建築のおはなし。個人的な話が続いて非常に恐縮ではありますが…このシリーズ、強行して継続していこうと思います!
今回は、金沢の鈴木大拙館です。
金沢というと、金沢21世紀美術館がとても有名ですよね。こちらは無料エリアだけでも十分に楽しめる美術館で、有料エリアも含めると一日楽しめるのではないかと思うくらい充実。
この美術館ができた頃、ちょうど建築を少し学び始めた頃で、友達とわくわくしながら夜行バスに乗って訪れたのが懐かしい…。これが美術館なんだ…!と衝撃を受けました。
そして、数年前に2度目に金沢へ旅行した時に訪れたのが、鈴木大拙館です。たくさんの観光客でにぎわう金沢21世紀美術館から歩いて10分程の距離にあるにも関わらず、とても静かなたたずまい。
こちらは、建築家の谷口吉生氏によるものです。谷口氏の父親で建築家の谷口吉郎氏が金沢市出身ということで、谷口氏本人も金沢にはゆかりのある人だそうです。
■鈴木大拙館
http://www.kanazawa-museum.jp/daisetz/
建築の設計方針:
敷地の特長である小立野台地から続く斜面緑地を背景に、石垣や水景などによって金沢を象徴する景観を創造し、その中で鈴木大拙の世界を展開していくことを設計の基本方針としました。 建築は、「玄関棟」「展示棟」「思索空間棟」を回廊で結ぶとともに、「玄関の庭」「水鏡の庭」「露地の庭」によって構成されています。この3つの棟と3つの庭からなる空間を回遊することによって、来館者それぞれが鈴木大拙について知り、学び、そして考えることが意図されています。(HPより抜粋)
まず玄関棟から入り、長い回廊を抜けて展示棟へ向かいます。
展示スペースの隣には、書籍や鈴木大拙館を掲載した雑誌などが並ぶ学習スペースがあります。静かな空間からは美しい庭を眺められ、机に座って書籍をじっくり読むこともできます。そして、この展示棟を抜けると水盤が広がります。
こちらに写っている男性、実は見知らぬ方なのですが…ちょうど良い所に立っていらっしゃったので思わずシャッターを切りました。ここに立ってみると、まるで自分自身も水盤の上にいるような感覚に。
水盤には、この建物の周囲の木々や空が写り込みます。建物がこじんまりとしているのに対して、これほどの水盤が広がっているこのバランスは、計算されつくしたものなのだろうな、と感じます。それによって水や風の音がより鮮明に聞こえて、とても静かな時間が流れている印象を受けます。
そして、この水盤の向こう側には思索空間棟があります。
この思索空間棟の建物の開口には扉がありません。外の風や音が感じられる空間です。畳でできたベンチに座ってただよう風を感じていると、ただただ無心になれます。
日が落ちて、空の色が変わっていくのをずっと眺めていたのですが、とても心地良い時間でした。
金沢を訪れる機会がありましたら、兼六園・金沢21世紀美術館と合わせて、この鈴木大拙館へもぜひ訪れてみて下さい!!